【卒業生インタビュー】饒波隼人さん(ディスカバリーコース5期生)「自分の好奇心を、自分の愛で包み込んであげてください」

中学校(中高一貫)卒業生の声探究学習
2025 5期生饒波隼人くん写真 (2)

話し手:饒波隼人さん 2026年3月卒業 ディスカバリーコース5期生 龍谷大学進学

聞き手:伏木先生 ディスカバリーコース統括

伏木先生 探究活動の内容について、具体的にどういう研究活動をしてきたのか、特に今度の1、2年生のゼミ活動の参考になるように教えてもらえますか?

饒波くん はい。私は高校1年生、2年生と2年かけてゼミ活動を通して探究活動を行ってきました。

私の探究テーマは「地元の京都市伏見区の地域活性化を若者目線で考える」というものです。具体的に言うと、伏見区といえば「伏見稲荷大社」に観光客が集中しているので、

それを他の場所にも分散・誘致できないかということや、伏見の歴史、文化、観光資源について自分自身でも深く知るために探究を進めてきました。

伏木先生 今も続けているんですよね。ゼミ活動での学びについてはどうですか?

饒波くん ゼミ活動は、普通の「先生と生徒」という学校の授業の枠組みとは違います。

ゼミにおいて先生は、先生という肩書きではなく「サポーター」という役割になります。

生徒が主体となって、もし途中でつまずいたり、「ここはちょっと無理かもしれない」と考え込んだりしたとき、先生は答えを教えるのではなく、

提案やヒントをくれます。あくまで生徒が主体となって行う学び、それがゼミ活動だと私は思っています。

伏木先生 ありがとう。2つ目の質問ですが、学校以外のところで、どういう人たちと繋がったり、どういう大人の人と出会ったりしたのか、プロセスの詳細を教えてもらえますか?

大学の方々や、コンテスト・発表会での出会いなど、できる限り詳しくお願いします。

饒波くん まず出会ったのは、京都府立京都歴彩館の若林正博先生(伏見の研究家)です。

きっかけは、高校1年生のときに「大手筋商店街」や「竜馬通り商店街」について知りたいと思い、まずは行動を起こそうと「商店街創生センター」にお問い合わせをしたことです。

そこで田中一成さんという方に出会いました。いろいろお話をしていく中で、「一度、伏見の研究家である若林さんに話を聞いてもらったほうが早い」と若林さんを紹介してもらいました。

そこから、歴彩館にお邪魔させていただいたり、納屋町商店街で2ヶ月に1回開催されている「伏見学」の講義で「小林呉服店」の方と出会ったりしました。

他にも、伏見で観光ガイドをしている方々や、地域のローカル情報サイト「まいぷれ伏見区」の編集部の方々とも出会いました。

高校生になってから徐々に活動が活発化していき、本当にいろんな方に出会えましたね。

まいぷれの記事に登場されています。

伏木先生 後半のコンテストなどではどうでしたか?

一番大きかったのは「マイプロジェクトアワード」への参加です。

また、地域サミットも参加したので、龍谷大学の学生さんや、私の発表を聞いてくださったマイプロのサポーターの方々にもお世話になりました。

全国高校生マイプロジェクトアワードの全国シンポジウム(全国大会)で東京に行った際には、全国からいろんな人が集まっていました。

同じグループだった「カタリバ」の方や、オンラインで関わった方、発表するたびに名刺交換をした全国の高校生など、名前を挙げたらキリがないほど多くの出会いがありました。

龍谷大学に進学した今でも、当時お世話になった先生のところに改めて会いに行ったりと、関係がずっと続いています。

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全国大会の会場となった東京大学にて。衣装はすべて自前で揃えた。

「越境することの魅力」と同世代からの刺激

伏木先生 オンラインも含めて、いろいろなコンテストやライブイベントへ精力的に参加して、境界線を越えて活動していましたね。

私はコース長としても、饒波くんをディスカバリーコースのフロントランナーとして見ていたのですが、その「越境することの魅力」はどこにあると感じていますか?

饒波くん 魅力はいっぱいありますが、一番思い浮かぶのは、「境界線を越えることで、自分だけでは絶対に気づけない視点から物事を客観的に捉えられるようになり、視野が広がる」ということです。

いくらゼミ活動をしていても、学校の中だけで毎週同じメンバー、同じ場所でやっているだけでは、探究活動としては少し物足りないなと感じてしまいます。

だからこそ、コンテストやそれ以外の場でも、全国の人たちとZoomなどで積極的に語り合う場を自分から作ることが大切だと思います。

自分からアクションを起こすことで、自分の探究へのアプローチができますし、フィードバックとして自分では分からなかったアドバイスをいただけます。

時には壁にぶち当たってしまうこともありますが、それを一緒に乗り越える仲間を見つけることで、モチベーションを高く保てます。

また、人生の先輩である大人の方々と触れ合うことで、自分自身の探究の質そのものが向上します。「この目線は自分にはなかったな」という気づきを自分の探究に活かせるという意味でも、

コンテストやイベントへの参加は本当におすすめですし、それが一番の魅力だと思います。

伏木先生 外部の「同世代の高校生」と出会い、場を共有することは、自分にとってほかにどんなプラスになりましたか?

饒波くん 同世代だからこそ、本当にいろいろなプロジェクトがあることに気づかされました。

私はたまたま地域活性化でしたが、いじめ問題に取り組んでいる人もいれば、政治や経済の分野からアプローチしている人もいます。

まさに「十人十色」の視点があるので、たとえば「地域活性化」というテーマであっても、経済学の観点から探究している同世代と出会えば、経済学的な視点を取り入れることができます。

政治学の観点から見ている人と触れ合えば、政治的なアプローチから自分の探究を見直すことができます。

これから先の社会を、同じ世代として、同じ時代を生きていく人と触れ合うことが一番大事なことなのだと実感しました。

伏木先生 学校生活や勉強、進路への影響はありましたか? 花園高校の友達とは違うメンバーから刺激を受けることで、メンタル面などに変化はあったでしょうか。

饒波くん 自分の進路が180度変わる、とまではいかないですが、「こういう視点を持っている人がいるんだな」と知ることができました。

私自身は自分の進路を決めていたので、周りの意見にぶれることはなかったのですが、おっしゃる通り「メンタリティのところ」ですごく影響がありました。

精神的なパフォーマンスが上がったと思います。「この人、すごいな」「やるな」という同世代を見つけると、

「自分もちょっと負けていられないぞ!」「勉強ももっと頑張ろう」と刺激を受けて、奮起することが何度もありました。



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全国サミットでの様子。互いに活発なやり取りがあった。

探究学習の学びが結びつけたもの

伏木先生 卒業した現在の視点から見て、中学・高校の5年間の探究学習は、今の進路や自分自身にどのような影響を与えていると思いますか?

饒波くん 一言で言えば、「ものすごい影響」を与えられました。 中学1年生のときは最初コロナ禍だったのであまり覚えていないのですが(笑)、

すごく覚えているのは、中学生のときに「好きを極める」という個人探究をやったことです。

そこから、ザ・ドリフターズについて調べたら、彼らがザ・ビートルズの前座を務めていたことを知り、そこからビートルズに大ハマりしたり、お笑い系のカルチャーに影響を受けたりしました。

この「好きを極める」という経験が、私の中で大きなバタフライエフェクトを起こしたんです。

自分の好きな興味関心からスタートして、蜘蛛の巣のように枝分かれして視野が広がっていく、そういう「探究の進め方の方法やビジョン」を、そこで培うことができました。

高校生になって「企業ミッション」をやったときはグループ活動の進め方を学びました。

中高一貫だからこそ、「中学生で個人探究のベースを積み重ね、高校生でグループ活動を学び、その後に伏見区の個人探究へスムーズに移行する」というステップが踏めたのだと思います。

今の進路にも完全に繋がっています。最初は歴史が好きなので大学では歴史学を学ぼうと思っていたのですが、

伏見区の探究を続けていくうちに「高校生でこれを終わらせるのはもったいない、もっと伏見について知りたい」と思うようになりました。

ただ、土地の課題などを個人で探究するには限界があるので、大学で専門的な学問を修めてから、それを伏見区に応用しようと考えました。

その総合探究の影響があったからこそ、今は大学で政治学や経済学を専攻しています。

伏木先生 大学の日頃の授業や生活の中で、「探究をやっていて本当によかったな」「めちゃくちゃ役に立っているな」と感じる具体的なスキルはありますか?

饒波くん 大きく分けて3つあります。

  • 1つ目:グループワークでの主導権とまとめ方  龍谷大学には「地域課題発見演習」という通年科目があります。大学のある深草キャンパスは私にとって「ホーム」のような場所なので、とても嬉しい授業です。自分たちでグループを作って伏見区を歩き、「観光資源と文化資源の違いは何か」を話し合うのですが、ここで中3で行った「企業ミッション」で培った力が100%活きています。オリエンタルランドの横山さんからお題をいただき、1年かけてみんなで発表を作った経験と、大学の授業スタイルが80%くらい似ているんです。そのため、大学のグループ活動でも積極的に発言できますし、議論のまとめ方も当時のアドバイスをそのまま応用できています。

  • 2つ目:リサーチ力  経済学の授業などでリサーチが必要な課題が出たときにも、どういう本や資料を探せばいいのか、高校時代の探究活動のおかげで、スムーズに文献を見つけることができます。このリサーチの「楽さ」は、完全に高校時代に培ったものです。

  • 3つ目:情報処理能力とプレゼンテーション力 大学ではパワーポイントなどを使ってプレゼン資料を作る課題がよく出ます。見やすいスライドの構成や、原稿の書き方の基本は大学でも教えてくれますが、私は高校時代に「Google サイト」やスライドを使い込んでいたので、さらにクオリティを上乗せして作ることができます。スライドの作り方、コミュニケーション能力、そしてみんなで団結して文献を探し、発言する力。これらすべてが今、大学で生きています。


後輩たちへ 

伏木先生 これから総合学習や探究に取り組む、中学生・高校生の後輩たちに向けて、一番伝えたいアドバイスは何ですか?

饒波くん 一番伝えたいのは、「自分の好奇心を、自分の愛で包み込んであげてください」ということです。

恋愛の愛ではなく、「自分はこれが好きなんだ!」という愛情をずっと忘れずに探究をしてほしい、というのが一番です。

探究をしていると、絶対に壁に当たったり、上手くいかなくてスランプに陥ったりします。僕も実際そうでした。「なんでこんなに上手くいかへんねん」と思うときもありました。

そういうときには、視野を変えてみたり、「自分にはできない」と先入観で決めつけないことが大切です。

先入観が一番怖いです。サポーターである先生に聞いてみたり、学校を飛び出して親や家族に聞いてみたり、究極的には地元の人に直接電話をして聞いてみたり。

折れずにめげずに頑張ったら、必ず道は開けてきます。先入観を捨てて、「自分はこれが絶対に好きなんだ」という愛に満ち溢れた探究心を持っていれば、絶対に上手くいきます。

伏木先生 進学を意識して入学してくる生徒の中には、「受験勉強」と「探究活動」のどちらを優先すべきかで悩み、対立させてしまう子も多いです。饒波くんは「探究と勉強」の関係性をどう捉えていますか?

饒波くん 私は「勉強VS探究」のように2極化して考えていること自体が、そもそもおかしいのではないかと思っています。「探究という大きな枠組みの中に、勉強がある」と思っていました。

たとえば英語で「動詞がわからない、どうしよう」となったとき、辞書で調べたり、先生に聞きに行ったり、スピーチを考えて外国人観光客に話しかけてみたりして克服しようとしますよね。

それって、探究と全く同じプロセスなんです。探究も「わからない、つまずいた、どうしよう」となったら、文献で調べる、人に話を聞く、先生や家族に相談する。

つまり、「勉強 ≒ 探究」なんです。

勉強は机の上で鉛筆を持ってノートに向かうイメージですが、探究にはそれぞれ自分がやりたい「問い(議題)」があります。だからこそ、探究という大きな円の中に、勉強という手段が含まれている。

「どっちを取るか」ではなく、勉強をしていれば探究心も生まれるし、探究をしていれば勉強もできるようになる。だから、あまり2極化して悩む必要はないのかなと思います。

伏木先生 探究の中で培ったマインドややり方は、勉強にも通じるということですね。饒波くんは高校の「独習会」や「EX講座」なども経験してきたと思いますが、計画の立て方などはいかがでしたか?

饒波くん 「独習会」は皆勤で通っていました。自分で計画を立てて行うものなので、「今日は気分で英語をやろう」「今日は数学の気分だから数学をやろう」と行き当たりばったりでやっていると、テスト直前になって「何もやっていない、まずい!」となってしまいます。

テストから逆算して「今日はこれをやろう」と計画性を養う時間になったので、それも探究活動にそのまま生きてきました。勉強という手段を用いて、計画性を育てることができたなと思います。

伏木先生 ディスカバリーコースオリジナルの探究プログラムの中で、他に印象に残っているものはありますか?

饒波くん「ジャパンツアー」や「ワールドツアー」のプランニングですね。私は1年目に東北、そしてイギリス「ビートルズのルーツを巡る」ツアーのプランを作りました。

あのプレゼンの楽しさや醍醐味は忘れられません。

私は正直、結果はそんなに気にしていなくて、その「プロセス」の方が大事だと思っています。何よりも「本気で行きたい!」というワクワク感があれば、人は絶対に自発的に行動を起こせます。

人に納得してもらえる、説得力のある旅行計画書や資料を作るにはどうすればいいか。また、旅行会社の方から実践的なアドバイスをいただける機会もありました。

これは、将来会社に就職したとき、「自分はこういうプランニングを考えています」とプレゼンし、周囲に納得してもらうための説得力を養うことにつながります。

何年か先に絶対に求められるスキルを、高校生という10代の時期に花園オリジナルの活動として経験できたことは、非常にありがたく、嬉しいことだったなと思います。

伏木先生 ありがとうございます。では最後の質問です。今後の目標や将来の展望について教えてください。

饒波くん 将来の展望として、私は今でも「伏見区の魅力を伝えるため」に活動を続けているので、これはこれからも継続していきます。

そして将来的には、既存の会社組織に属するだけでなく、自分自身で起業なども視野に入れながら、社会を変えていきたいです。「社会のパイオニア(開拓者)」になりたいという野望を持っています。

これからも、日々の生活の中で愛と探究心を持ち続け、日々努力して精進していきたいと思います。