【卒業生インタビュー】井上真由美さん(ディスカバリーコース5期生)美術から社会学へ、私を突き動かした「探究」の2年間と、花園で見つけた「もう一つの居場所」

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【対談者】
話し手:井上 真由美さん(ディスカバリーコース5期卒業生/現・大学1年生)
聞き手:伏木 陽介先生(ディスカバリーコース統括)


1. 大学での学びと、ディスカバリーの「共通点」
伏木: 久しぶり。大学に入学して2ヶ月が経ったけど、生活には慣れた?
井上: はい、だいぶ慣れました。今、大学でグループワークや、学生同士で意見を交流するワークショップ形式の授業を受けているのですが、

そのたびに「あ、これ花園の探究と全く同じだ」って感じています。
伏木: 具体的にどういうところが?
井上: 自分の意見を伝えつつ、相手の意見にもしっかり耳を傾けるという「傾聴」の姿勢です。周りには戸惑っている子もいますが、

私はディスカバリーでの6年間でこのスタイルが身についていたので、すごくスムーズに入り込めました。

ただ、大学は「自分で学びたい」という意志がないと本当に置いていかれる環境なので、そこは改めて探究活動に近いなと感じます。


2. 「良心」への疑問から始まった、高2の学術的探究
伏木: 井上さんといえば、高校2年間取り組んだ「性的少数者(LGBTQ+)」の探究だよね。高1と高2で、アプローチがガラッと変わったのが印象的だった。
井上: 高1の時は「多数派と少数派の架け橋」を目的とした情報発信型プロジェクトをやっていました。

その時に『マイプロジェクトアワード』に出場して賞をいただいたのですが、実はそれ以降、少し苦しかった時期があって。
伏木: 苦しかった?
井上: はい。その後もいくつかのコンテストに挑戦したのですが、なかなか結果に繋がらなくて。

いつの間にか「賞を取ること自体」が目的になってしまって、焦っていたんです。そんな時、学外の発表の場でフィードバックをいただく機会がありました。

そこは評価を競う場所ではなく、純粋に意見をもらう場所だったので、プレッシャーなく自分が伝えたいことを伝えられた。

それが、探究を「長期的な視点」で捉え直すターニングポイントになりました。
伏木: そこから、高2の「学術的な探究」へと深まっていったんだね。
井上: 最初の頃は「みんなが優しい心(良心)を持って接すれば、この問題は解決できる」とずっと思っていたんです。でも、LGBTQのコミュニティに実際に参加して、当事者の方やアライ(支援者)の方々の「生の声」を直接いただく機会が増えるにつれ、考えが大きく変わりました。机の上で得られる情報だけではなく、現場の葛藤に触れたことで、「これは個人の優しさの問題ではなく、社会の構造的な面に焦点を当てるべきではないか」という疑問が生まれたんです。
伏木: まさに「社会学」の視点だね。
井上: はい。そこからは、主観ではなく客観的な視点で述べるために、大学の研究紀要(論文)を読んだり、上先生(本校国語科)に教えていただいた京都市立図書館へ足を運んで、専門書を読み漁ったりしました。Google Scholarなどは当時は使いこなせていなかったのですが(笑)、地道に論文を読み解く作業は、今の大学でのレポート作成の基礎になっています。



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中学3年生3月 ファイナルプレゼン大会で見事優勝

3. 福岡の空とGoogleのミッション。プロジェクトから得た「スキル」
伏木: 探究活動以外にも、ディスカバリーにはプロジェクトが多いよね。例えばジャパンツアーはどうだった?
井上: 私は福岡へのツアーを計画したのですが、あれが人生で初めて「自分でツアーのプランをゼロから考える」経験でした。

見知らぬ土地のことを調べるのは不安でしたし、何より大変だったのは「全員が楽しめるプラン」を作ること。

一人ひとり価値観も好きなものも違う中で、どうすればみんなが満足できるか。予算や時間、さらには感染症対策の余波も残る厳しい制約の中で、数字と向き合い、計画を形にする力は、このツアーを通して身についたと思います。
伏木: 中3の時のGoogleの企業ミッションも、今振り返るとどう?
井上: 当時はGoogleさんがこれほど多様なシステムや機械を作っているとは知らなくて、発見が多かったです。ミッションの中で「Google Cube」という新しいアイデアを考えてスケッチしましたが、グループで意見を出し合い、一つの形にまとめていく難しさを知りました。

個人で進めるゼミ活動とは違う、チームでの合意形成。あの経験も、今の大学のグループワークに直結しています。


4. 高2の冬、180度の進路変更。自分に「合っている」場所
伏木: 井上さんの進路についても触れたい。実は高2の冬まで、全然違う分野を目指していたんだよね。
井上: そうなんです。高2の冬まではずっと「美術・芸術系」の大学を志望していました。

でも、探究活動を通して「もっとこの分野(社会学)を学びたい、深めていきたい」という想いが、自分の中で確信に変わっていったんです。

美術の世界を模索する中で「自分にはこの道は合っていないのかもしれない」という感覚が出てきたことも重なりました。
伏木: 高2の冬というタイミングでの「美術から社会学へ」の転換。不安はなかった?
井上: 探究というプロセスを通して、自分自身としっかり向き合って出した結論だったので、迷いはありませんでした。むしろ、探究活動のおかげで、自分が本当に情熱を傾けられる分野に出会わせてもらったと思っています。



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高校2年生12月 冬季プレゼン大会で発表する井上さん

5. 職員室という「サードプレイス」と、切磋琢磨した仲間たち
井上: 花園での6年間を振り返って、一番ありがたかったのは先生方のスタイルです。

「強く指導する」のではなく、隣で一緒に歩んでくれる「伴走」の姿勢。私、実は学校にあまり馴染めない時期があったんです。
伏木: なるほど。
井上: でも、そんな私にとって、職員室は教室とは別の「安心できる居場所」でした。夏休み中も何度も何度も職員室を訪ねて。

上先生に文献の相談をしたり、東田先生や伏木先生に志望理由書やレポートを見てもらったり、面接の直前まで国語科の先生たちに練習に付き合ってもらったり。

先生方に会うために学校に行っていた時期もあったくらいです。
伏木: 井上さんが最後の下校時間、19時ギリギリまで残っていた姿もよく覚えてる。
井上: あの時間、いつもそばに切磋琢磨し合えるクラスメイトがいました。最後まで一緒に残って、暗くなった道を一緒に帰る。

あの5期生の仲間との絆と、先生方がいつでも相談に乗ってくれるという安心感。この両方があったから、私は自分の学びを広げ、可能性を信じることができたんだと思います。


6. 後輩たちへ。迷うより先に、まず動いてみて。
伏木: 最後に、今ディスカバリーで学んでいる後輩たち、あるいは入学を考えている皆さんにメッセージをもらえるかな。
井上: 「迷っているなら、動くこと、出店(出場)してみること!」と伝えたいです。最初は不安だし、大変なことももちろんあります。

でも、外の世界に出てフィードバックをもらう経験は、何物にも代えがたいものです。考え込んで止まっているより、まず動いてみる。

その一歩が、自分の景色を大きく変えてくれます。
伏木: 井上さんはこれから、大学でどんなことを探究していくの?
井上: 小学校教育における「性別二元論」を問い直し、多様な性が当たり前に尊重される概念の構築に携わりたいと考えています。 

花園で培った「問い続ける力」を武器に、いつか私の書いた論文が誰かの探究の役に立つ日まで、研究を続けたいです。
伏木: その日が来るのを楽しみにしているよ。今日はありがとう!


【花園卒業生から、受験生・保護者の皆様へ】
「一生モノの自信」を育む、最高の伴走者がいる場所
花園中学高等学校 ディスカバリーコースは、偏差値だけでは測れない「自分の道を選択する力」を育める場所です。

自分たちでゼロからプランを創り上げるジャパンツアーや企業ミッション、そして社会の構造に深く切り込む2年間の探究活動。

こうした主体的なプログラムを通じ、私は「正解のない問い」に挑み、対話を通じて納得解を導き出す一生モノのスキルを得ることができました。


学習面でも、読書会や、夜19時の最終下校まで仲間と切磋琢磨できる環境があり、先生方はどんな悩みにも対等に向き合ってくれる「最高の伴走者」です。

私はこの学校での対話があったからこそ、高2の冬に自分の本心に気づき、進路を180度変えて今の大学での学びに辿り着けました。

お子さんの「もっと知りたい」という熱量を、全力で肯定し、応援してくれる環境がここにはあります。ぜひ、安心して飛び込んできてください。


【インタビューを終えて~ディスカバリーコース統括 伏木より】
井上さんの話を聞きながら、ディスカバリーコースの真価は、単なる知識の習得ではなく「自分自身の生き方を選択する力」を養うことにあると再確認しました。

19時の職員室前で仲間と語り、図書館で論文と格闘した日々。そのすべてが、彼女の揺るぎない自信となって今の学びに息づいています。

私たちはこれからも、一人ひとりの「もっと知りたい」という熱量に、全力で伴走し続けます。